
フローレンスが運営する、宮城県仙台市「おうち保育園かしわぎ」が、全国小規模保育協議会が受託した、こども家庭庁の令和8年度「企業等の活力を活かした小学生の預かり機能構築モデル事業(以下、モデル事業)」の実施拠点に決定。保育園を地域にひらき、小学生の放課後の居場所づくりを実践する。
フローレンスの取り組み

フローレンス代表理事 赤坂緑氏
フローレンスは、日本のこども・子育て領域に関わる課題解決と価値創造に取り組む、国内最大規模の認定NPO法人。多様な保育事業を運営するほか、全国で「こども宅食」「赤ちゃん縁組」などの福祉事業と支援活動、政策提言を行っており、全国小規模保育協議会の一員として、保育園を在園児だけの施設ではなく、地域の子育てを支える拠点へと発展させる「保育園多機能化」を推進している。
モデル事業は、「保育園多機能化」の考え方の一つとして放課後支援の形で具体化し、その運営や効果を検証する取り組み。実施拠点に選ばれたフローレンスの「おうち保育園かしわぎ」では、保育園の「余裕スペース」を活用し、近隣の子育て支援施設とも連携しながら、既存の学童サービスだけでは十分に対応しきれないニーズに応え、保育園を在園児だけでなく、地域のこどもたちを支える拠点として活用する新たなモデルの構築を目指している。
放課後の居場所の確保と課題
こども家庭庁が発表している最新の調査によると、学童保育(放課後児童クラブ)の待機児童数は16,330人に上り(※1)、小学校入学を機に、仕事と家庭のバランスが崩れる「小1の壁」は依然として深刻な社会課題となっている。民間調査では約4割の保護者が「小1の壁」に直面していると回答。その最大の要因は「放課後の居場所の確保」が挙げられている(※2)。
モデル事業の実施場所の一つである仙台市では、公的な学童施設を利用する児童が多く、3年生になると退所してしまうケースも見られるという。大人数の環境になじめない子もいるため、より手厚い個別配慮を求める声が上がっている。
また、安全・安心に過ごせる放課後の居場所を地域の中に確保することは重要だが、新たな預かり施設の建設には多額の費用と時間が必要だ。そこでフローレンスは、すでに地域に存在するインフラである保育園の余裕スペースを活用し、小学生にとっても安全・安心な「放課後の居場所」を創出することで、持続可能な仕組みによる社会課題の解決を目指す。
「おうち保育園かしわぎ」の取り組み
「おうち保育園かしわぎ」では、これまでも保育園の先生をの手伝う「こどもインターン」をはじめ、小学生と乳幼児が自然に関わり合う機会をつくり、地域全体でこどもを育む取り組みを重ねてきた。今回のモデル事業では、小規模保育園ならではの、一人一人に目が届く家庭的な環境と保育の専門性を活かし、その取り組みを小学生の放課後支援へと発展させる。
例えば、大規模な環境になじむのが難しい子や、落ち着いた居場所を必要とする児童に対し、個別の配慮に基づいた見守りや「今日は何をやってみたい?」と本人の意志を尊重した過ごし方をサポート。いわゆる「動ける医療的ケア児」の放課後の過ごし方についても模索していく。
さらに、「こどもインターン」を同事業に組み込み、多世代交流を通じてこどもの主体性や協調性などの非認知能力を育む成長支援モデルを提示。医療的ケア児・障害児のこどもを預かる「インクルーシブ保育」も実践し、医療的ケア児や障害児と自然に関わる経験を通じ、多様性を尊重し合う地域づくりにもつなげていくとしている。
モデル事業での預かり対象は小学生(小学3〜6年生)で、1日3人程度。開設時間は、平日が下校時間〜18:30、長期休業期間が9:30〜16:30で、8月3日(月)より開始される予定だ。
実践事例として全国に発信
モデル事業では、企業主導型保育園の余裕スペースを活用した放課後支援モデルとして、保育園が地域の小学生の居場所となるための運営や効果を検証。同事業を通じて得られた知見を整理し、「保育園の多機能化」の実践事例として全国に発信していく。
将来的には、事業終了後も継続して運用できる仕組みづくりを進めるとともに、他の保育園や類似施設への展開も視野に入れているという。
この機会に、小学生にとって安全・安心な「放課後の居場所」を創出するモデル事業や、実施拠点に選ばれた「おうち保育園かしわぎ」に注目してみては。
フローレンスHP:https://florence.or.jp
全国小規模保育協議会公式サイト:https://syokibohoiku.or.jp
※1 令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況より
※2 「小1の壁」に関する保護者の意識調査(千「はいチーズ!会員へのWEBアンケート調査」より)
(佐藤ゆり)